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随想の頁
2005.1.1〜2005.12.31


2005

師走
12.31
はやおほつごもり。9月以降更新を怠りつつ迎へたる年の暮。年頭の目標であつた「世界文学渉猟」寸評70以上追加は達成出来たものの―しかし、読了本に寸評を付けてゐないものが未だ6つもあるのです―、「ディスコグラフィー」制作は「フリードマン」のみとお寒い限り。来年は2つ以上完成させることを公約しませう。今年読了した本で四つ星を付けたのは、サン=テグジュペリ『星の王子さま』、シラー『群盗』、セルバンテス『ドン=キホーテ』後篇、二葉亭四迷『其面影』、ドストエフスキー『未成年』、ホメーロス『オデュッセイアー』―これはまだ寸評を付けてゐません。陳謝。―の6作品のみです。他にも名作を沢山読みましたが、今も強く残るのは上記の作品です。来年も名作と呼ばれるものを優先的に手に取る積りです。結局それが一番良いのです。
12.28
「楽興撰録」にてヤドローカーのCD評追加。
12.26
「世界文学渉猟」にて『ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯』の寸評追加。これも実を申しますと2週間も前に読了してをりまして、今更ながらの更新で面目もござりません。反骨精神の塊のやうな作品で諷刺の利いた滅法面白い作品ですが、藝術的にはさして高い作品ではありません。寧ろ、この作品の果たした歴史的な意義を汲んで手に取ることをお薦めします。
12.25
「世界文学渉猟」にてエウリピデス『ヘカベ』の寸評追加。実を申しますと1週間以上も前に読了してゐたのですが、忙しさにかまけて更新に至らなかつた次第です。『ヘカベ』は『アンドロマケ』と同様嗜虐的な趣が強く、曇りなき名作とは呼べない面を持つてゐますが、ポリュクセネの自己犠牲には感動的な瞬間があり、一読を薦めたい作品です。「楽興撰録」にてクライバーのCD評追加。
12.21
「楽興撰録」にてクラウスのCD評追加。
12.19
「楽興撰録」にてパレーのCD評追加。
12.15
師走は忙しいものです。エウリピデス『アンドロマケ』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。筋を追ふだけなら存外楽しめる作品ですが、スパルタの無道振りを強調しようとするばかりに品のない通俗的な作品になつてゐます。「楽興撰録」にてシゲティのCD評追加。
12.9
「楽興撰録」にてフルトヴェングラーのCD評追加。
12.7
「楽興撰録」にてバックハウスのCD評追加。
12.4
「楽興撰録」にてロッテ・レーマンのCD評追加。
12.3
デュマ=フィス『椿姫』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。ヴェルディの歌劇「ラ・トラヴィアータ」をよく知つてをきながら、原作を読むのが今更のやうになつて仕舞ひましたが、これはアベ=プレヴォー『マノン・レスコー』とともに普遍的な愛の物語として万人に薦めたい傑作です。件のオペラの他にこの作品を鑑賞する手段は幾つもありますが、間違ひなく小説を読むべきでせう。余りにも美しく哀しい愛に胸が詰まりました。
12.1
師走になつて仕舞ひました。年頭計画が大方倒れてゐるのには他人事のやうなのですが驚きです。せめてヌヴーのディスコグラフィーは完成させたいのですが無理でせう。全体的にこの数ヶ月は更新が滞り気味ですが、ここは発奮して間隔の空かないやうに一踏ん張りするとしませう。「楽興撰録」にてクナッパーツブッシュのCD評追加。

11.28
ポー『黄金虫』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。3日も前に読了してゐたのですが、多忙の為本日の更新です。『黄金虫』は文句の付けやうのない名作です。ポーの作品は詩を含め今後も手に取りたいと思ひます。「楽興撰録」にてパウエルのCD評追加。
11.24
ポー『ウィリアム・ウィルスン』『メールストロムの旋渦』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。『メールストロムの旋渦』を殊の外面白く読みました。手に汗握る名作です。しかし、内容としては『ウィリアム・ウィルスン』の方が深く、ポーの特色もこちらにあると云へませう。「楽興撰録」にてトスカニーニのCD評追加。
11.23
事後報告なのですが、先日「北斎展」を鑑賞してきました。本邦屈指の絵師の作品をこれだけ纏めて観れるのは何と云ふ仕合はせなのでせう。これは今年最高の展覧会ですので、お見逃しのないよう早めに足を運びになることを勧めます。
11.21
ポー『アッシャー家の崩壊』『黒猫』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。フランスの象徴派詩人らに多大な影響を与へたポーの幻想小説の傑作です。猟奇的な筋であつても暗示的な詩情が漂ふ一種特別な気位を持つ作品ばかりです。「楽興撰録」にてグレインジャーのCD評追加。
11.20
驚愕の新譜情報。Cello Classicsからフォイアマンの稀少録音集の第2弾が発売されるとのことで、何と未発表のサン=サーンスの第1協奏曲が含まれます。さらにPCでフォイアマンの伝説的な映像が観ることが出来ます。ドヴォジャークとポッパーのそれはもう驚異的な演奏で、絶対見逃してはならぬ逸品です。
11.19
「楽興撰録」にてフリッチャイのCD評追加。
11.17
「世界文学渉猟」にて武者小路実篤『友情』の寸評追加。相当昔に読んだ作品を再読してみました。驚くほどあつと云ふ間に読めました。美しい部分と空々しい部分が半分と感じまして、以前のやうに白樺派の作品には共感を感じないようです。私は二葉亭や漱石の作品の方が肌が合ふのでせう。しかし、理想主義的な対話には内省させられる部分が多く、『友情』が時代を超えた名作であることには違ひありません。
11.16
「楽興撰録」にてヤドローカーのCD評追加。新譜情報を幾つか記します。英Biddulphからライオネル・ターティスの4枚組が出ます。これだけ纏まつた復刻は初めてで、特にバックスのヴィオラ・ソナタが重要です。米M&Aからはシュナーベル、シューリヒト、トスカニーニの注目盤が発売されます。音質に期待出来るので蒐集せずにはゐられないでせう。
11.15
「世界文学渉猟」にてエウリピデス『ヒッポリュトス』の寸評追加。エウリピデスは生前四回しか優勝を勝ち取ることが出来ないといふ不当な扱ひを受けてゐたのですが、『ヒッポリュトス』こそは第1等を得た記念碑的な傑作です。色恋とは分別や良識で規定されて仕舞ふものではありません。ときとして道徳や社会通念を破る魔力を持ちます。パイドラの悲劇を理解せぬ者はヒッポリュトスやテセウスのやうに苦しまねばならないのでせう。
11.13
「楽興撰録」にてシゲティのCD評追加。
11.12
「楽興撰録」にてメンゲルベルクのCD評追加。
11.10
エウリピデス『ヘラクレスの子供たち』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。悲劇の主題の扱ひが分散してをり、筋の進行に終始した観のある作品です。深淵な台詞が随所に読まれるものの、劇が弱い為に訴える力が削がれてゐます。エウリピデスの作品を網羅的に読まうと云ふ人以外は読まなくてもよいでせう。
11.8
「世界文学渉猟」にてチェーホフ『六号室』の寸評追加。読了してから多分1ヶ月近く経つてからの寸評となつて仕舞ひました。これはチェーホフ畢生の名作で、これまで読んだ短篇小説の中で最上の作品です。医師と狂人の交はす対話には深い洞察と叡智が潜み、ドストエフスキーの登場人物を想起させる重みがあります。世界の何が正しくて何が正しくないのか。そもそもそのやうなものはないのか。読後に省察を与へられる作品で、ロシア文学愛好家には特に薦めませう。
11.7
「楽興撰録」にてシューリヒトのCD評追加。
11.4
「楽興撰録」にてデュボワのCD評追加。
11.2
少々日が空いて仕舞ひましたが、10月30日の演奏会が無事終了したことを記してをきます。今回の曲目は弥生室内管弦楽団の実力で何とか表現が行き届き、全体的に成功した演奏会であつたと考へます。表現が及ばなかつた曲の例として最近ではハイドンやブラームスなどが挙げられると思ひます。曲の難しさといふのは表面だけで判じることが出来ません。演奏者の知・情・意が曲に及ぶか否かは特に重要な因子であると思ひ至つた次第です。ですからその意味で次回の演奏会が楽しみであります。「楽興撰録」にてアンゲルブレシュトのCD評追加。
神無月
10.29
明日10月30日は主幹の所属する弥生室内管弦楽団の第29回演奏会です。トッパンホールにて14時開演です。多彩なプログラムで必ずや楽しいものとなるでせう。本日の更新は宣伝のみで失礼致します。
10.27
「世界文学渉猟」にてチェーホフ『退屈な話』の寸評追加。実はこの作品を読了したのは半月も前のことでして、ぼやぼやしてゐるうちに今頃の寸評になつて仕舞ひました。『退屈な話』はチェーホフには珍しい筋のない小説で、思想を展開した作品です。題名は皮肉でせうか、チェーホフの本領を発揮した作品とは思へません。ドストエフスキーらの後では軽く感じて仕舞ひます。
10.26
「楽興撰録」にてクラウスのCD評追加。
10.24
「世界文学渉猟」にてエウリピデス『メデイア』の寸評追加。エウリピデスの作品の中でも最も印象に焼き付く作品。思想家エウリピデスは絶対的な価値観に懐疑を挟み、改変を加へながら情動的な作品を世に問ふた詩人です。格調高さでは劣るものの、情念の強さに惹かれます。「楽興撰録」にてモイセイヴィッチのCD評追加。
10.22
エウリピデス『アルケスティス』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。三大悲劇詩人で未だ寸評を付けてゐないエウリピデスを渉猟開始。最初期の作品とされる『アルケスティス』から始める。エウリピデスの作風は悲劇の構築よりも思索的な台詞に重きを置いてゐるところに集約されるでせう。独自の解釈を施した急進的な作品は、一般的な人気とは裏腹に保守層からは批判を受けたやうです。この『アルケスティス』はサテュロス劇に代はるものとして実験的に試みられたと考へられる悲喜劇的作品で、異色の趣が強いものの大変読み応へのある名作です。「楽興撰録」にてプシホダのCD評追加。
10.21
「楽興撰録」にてロストロポーヴィッチのCD評追加。
10.19
「世界文学渉猟」にてモーパッサン『モントリオル』の寸評追加。「楽興撰録」にてフラグスタートのCD評追加。久々のまともな更新です。『モントリオル』を読了したのは10日以上前のことで、怠慢以外の何物でもありません。さて、『モントリオル』は短篇の名手モーパッサンの作品中では異色の長篇と云へるでせう。決して暗く重くはならない作品で、金と恋の駆け引きを総じて面白く読みました。一般的な知名度はありませんが、名作として推します。ところで、他にも読了本の寸評が溜まつてをりまして弱つてゐます。
10.13
「楽興撰録」にてダルベーアのCD評追加。
10.9
また更新の手抜きが始まりました。読書は順調なのですが、書評を上手く纏められません。今日こそはと思ふのですが、焦つてもよい文章が書けないと観念して、言葉が出てくるまで待ちます。CD評も同じで、気に入るまで待ちます。ご覧頂いてゐる皆様どうかご勘弁を。
10.6
「楽興撰録」にてフルトヴェングラーのCD評追加。
10.3
「楽興撰録」にてギーゼキングのCD評追加。

9.29
泉鏡花『海城発電』『化銀杏』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。戦争や結婚などの問題を扱つた作品と読むことも出来ますが、鏡花は思想を展開する作家ではなく、筋の起伏の為に社会的・人間的な問題を用ひます。語りの美しさや情景の美しさで感性に訴へかける作家です。掌篇『凱旋祭』の寸評は割愛しました。
9.28
「楽興撰録」にてミュンシュのCD評追加。
9.26
泉鏡花『夜行巡査』『琵琶伝』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。部分的には胸に迫る件があるものの、中庸とは程遠い筋運びに辟易することもあるのも事実です。「楽興撰録」にてレーマンのCD評追加。
9.24
「楽興撰録」にてエルマンのCD評追加。
9.23
泉鏡花『外科室』『義血侠血』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。「瑠璃の本でほんで?」のるりさんが紹介されてゐた泉鏡花作品を無性に読みたくなりまして、手にとりました。美文調の豊潤な文章に酔ひ、猟奇的な美しき情景に酔ひました。荒唐無稽と一蹴することも出来るでせうが、私は鏡花の世界を愛します。作品の含みでは『外科室』を採りますが、潔い『義血侠血』により惹かれました。引き続き泉鏡花作品を渉猟。
9.22
「楽興撰録」にてシューリヒトのCD評追加。新譜情報をひとつ。Marstonレーベルより待望のヨーゼフ・ホフマン全集の第8巻が発売になりました。さて、これが最終巻になるとの触込みでしたが、来年に第9巻が追加で登場するとのことで驚愕した次第です。1896年のシリンダー録音などの秘蔵音源満載とのことで、今から楽しみです。
9.20
「楽興撰録」にてバルトークのCD評追加。
9.15
「世界文学渉猟」にてペトロニウス『サテュリコン』の寸評追加。数日前に読了してをりましたが、やうやう寸評を書きました。それどころではありません。中島敦の作品を3つも読了してゐるのにそれらの寸評を棚上げしてゐる始末です。「世界文学渉猟」の更新を半月以上も怠けてゐたこと申し訳なく思ひます。『サテュリコン』は正直に申して現代の我々が読んで素直に楽しめる作品とは思へません。寧ろ作者ペトロニウスの生涯の方が興味深いでせう。これに関連して、未読であるシェンキェヴィッチ『クォ・ヴァディス』への関心が高まりました。現在翻つて中島敦作品を渉猟してゐます。近日中に書評を纏めて載せます。
9.14
「楽興撰録」にてメンゲルベルクのCD評追加。
9.11
本日「コジ・ファン・トゥッテ」の公演を無事終了しました。大変素晴らしい管弦楽団と指揮者に出会ふことが出来て、喜びで一杯です。多忙の為練習量が至らなかつたこと反省一頻りであります。これを期に音楽を深く追求したく思つた次第です。「楽興撰録」にてムツィオのCD評追加。
9.8
「楽興撰録」にて「マノン」のCD評追加。長らく更新をせずにゐたこと深くお詫び致します。事情は個人的なことばかりですので省きます。実はこの間に、中島敦の作品を3つも読了してをります。近々纏めて寸評を書き上げますので、「世界文学渉猟」の更新は今暫くお待ち下さい。何故なら11日には「コジ・ファン・トゥッテ」の公演が控えてゐるからなのです。オペラ公演にご興味ある方、ご招待致しますのでメールにてご連絡下さいませ。

8.31
「楽興撰録」にてフランソワのCD評追加。激務の為更新が不可能な状況にありましたが、やうやう峠を越したやうで来月からは定期的に更新が出来ると思ひます。
8.26
呉起『呉子』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。兵法を指して孫呉の術と云はしめるほどであるが、『孫子』と『呉子』では内容を大分異にする。比喩が多く気を重んじる『孫子』に対し、『呉子』は徹底的な合理主義を貫く。解り易く実地に応用出来るのは『呉子』である。これらの書が現代の企業戦略の為読まれることに苦言を呈する積もりはないが、実用の目的で読むのではなく、精神を汲み取りたい。
8.25
「楽興撰録」にてブッシュのCD評追加。
8.23
「楽興撰録」にてフルトヴェングラーのCD評追加。
8.22
孫武『孫子』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。余りにも有名な兵法書である。現代でも企業戦略の為に読む方も多いと思ふが、勝ち負けの為の読書などは詰らない。『孫子』は状況判断と心理分析に長けた、深い叡智を持つ不滅の古典である。
8.21
「楽興撰録」にてハイフェッツ/プリムローズ/フォイアマンのCD評追加。
8.19
「楽興撰録」にてムラヴィンスキーのCD評追加。
8.17
ゲーテ『ライネケ狐』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。ゲーテによる作品とは殆ど云へないものながら存分に楽しめる。中世文学の素朴さから人間の欲望といふ暗部をよく引き出してゐる。
8.16
「楽興撰録」にてメニューインのCD評追加。
8.13
ゲーテ『西東詩集』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。『ファウスト』と共にゲーテの傑作として称したい。ハーテムとズライカの交はす愛の詩から私はひとつの啓示を賜つた。「楽興撰録」にてトスカニーニのCD評追加。驚愕の新譜情報が出た。コルトーのマスタークラスを収録した3枚組と日本での録音2枚組で愛好家は是非とも蒐集したいものだ。
8.11
「楽興撰録」にて「コジ・ファン・トゥッテ」のCD評追加。私事ですが、9月11日にこの歌劇を演奏出来ることに相成りました。心理の変化が音楽で刻々と暗示される究極のアンサンブル・オペラを演奏出来るだけでも仕合はせですが、指揮者と演奏団体の音楽を追求する姿勢に心を打たれてをります。あと1ヶ月、物心捧げ練習に打ち込みたいと思ひます。
8.9
「楽興撰録」にてラモンドのCD評追加。
8.8
ゲーテ『ヘルマンとドロテーア』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。牧歌的な幸福感に包まれた美しい叙事詩である。箴言と省察を多分に含むところはゲーテが難解とされる所以でもある。
8.6
「楽興撰録」にてムツィオ、クリュイタンス、クライバーのCD評追加。真一週間振りの更新。書けるときに書くのが今精一杯の現状です。
8.3
ヘッセ『知と愛』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。原題は『ナルチスとゴルトムント』だが、信頼する方から邦題の持つ奥行と響きの美しさの貴さを教えて頂き、結果的に邦題を表記することとした。ヘッセの作品の中でも最も完成度が高く、調和と抒情が読む者を包み込む。だが、この作品の示すところは理性と感性といふ不完全なものへの正視と慈愛であり、とても苦い作品であるのだ。
8.1
今月は定期的な更新が困難かもしれません。どうかご了承下さい。

7.31
「楽興撰録」にてイザイのCD評追加。
7.28
「世界文学渉猟」にてバルザック『知られざる傑作』の寸評追加。最も偉大な文豪であるバルザックの代表的な短篇小説である。これほど深淵な藝術論が展開された作品はさうはあるまい。画家たちの交はす一言一言が珠玉の箴言である。「楽興撰録」にてフィッシャーのCD評追加。
7.26
「楽興撰録」にてアンチェルのCD評追加。
7.24
「楽興撰録」にてパンゼラのCD評追加。
7.23
激務と過労と風邪の為、更新が滞つたことを陳謝します。後1ヶ月は斯様な調子でせう。暫くは直に読了出来さうな短い作品を選び、渉猟をしていく予定とする。数日前に読了済みであつたストリンドベリ『債権者』『パーリア』『復活節』の寸評を「世界文学渉猟」に追加。ストリンドベリでは他に代表作『令嬢ジュリー』などを読んでみたい。今日ではストリンドベリの名は忘れ去られたに等しいが、芥川などが重視した大家であり、復権を期待する。「楽興撰録」にてキロガのCD評追加。
7.19
「楽興撰録」にてパッハマンのCD評追加。
7.17
ストリンドベリ『父』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。父といふ立場が失墜を始める19世紀末の深刻さが伝はつてくる。直截的な作品で完成度が高く、『死の舞踏』よりも評価したい。「楽興撰録」にてムラヴィンスキーのCD評追加。
7.15
「楽興撰録」にてスキーパのCD評追加。
7.14
ストリンドベリ『死の舞踏』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。絶望的な作品で、この点からすれば一等抜きん出た驚くべき戯曲である。夫婦間で取り交はされる気違ひじみた台詞に救ひはない。男女の神聖な愛や結婚に疑ひを持たない方は決して読むべきではない。だが、この作品に共感を持つのも哀れなことだ。この作品は一面の真理を語つてゐるが、ストリンドベリが降り立つたほど世界は暗くないはずだ。
7.13
「楽興撰録」にてゴールトベルクのCD評追加。
7.11
「楽興撰録」にてクライバーのCD評追加。
7.9
井原西鶴『本朝桜陰比事』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。真痛快にして古びることなき大傑作である。作品名で今日の我々が内容を推察することが不可能なのが惜しい。これは所司代と云はれる裁判官の名裁きを集めたコントである。人間が考へる悪事の数々と人間関係の縺れは現代と何が異なろうか。「大岡越前」に先行するものだが、全てにおいて優位を占める。読むべし。
7.8
「楽興撰録」にてギーゼキングのCD評追加。
7.6
「楽興撰録」にてクリュイタンスのCD評追加。
7.5
井原西鶴『本朝二十不孝』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。読まねば分からぬ西鶴の面白さ。如何にしてこれを伝へよう。唯、西鶴は現代語訳で読むのを薦める。名うての悪文として知られる西鶴の原文は確かに辛い。内容が滅法痛快だから現代語訳で不都合はない。引き続き『本朝桜陰比事』を渉猟する。
7.4
「楽興撰録」にてシューマン=ハインクのCD評追加。
7.2
「楽興撰録」にてデュボワのCD評追加。
7.1
『ニーベルンゲンの歌』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。我が「世界文学渉猟」に唯のひとつも中世ヨーロッパの作品がないことを遺憾に思ひ、最も中世的な即ち最もゲルマン的な作品を手に取る。雄渾極まりない叙事詩で、劇的悲愴感の強烈さは中世に関心がない者をも引き込む力を持つ。殊にヴァーグナーの『指環』を愛する者なら必ず読んでをきたい。ドストエフスキー、マーク=トウェイン、カフカを独立した頁に移行。これより3月は再び質実剛健な文章にて当頁を綴ることとした。
水無月
6.30
「楽興撰録」にてフリッチャイのCD評追加。Naxosの新譜で、シュナーベルによる変奏曲やバガテル集の続巻が出るのも喜びですが、マルティネッリとレートベルクによる「オテロ」、しかも指揮がパニッツァといふ愛好家には堪へられない音源が出ます。
6.28
「楽興撰録」にてペトリのCD評追加。
6.27
「世界文学渉猟」にて谷崎潤一郎『猫と庄造と二人のをんな』の寸評追加。谷崎には藝術的な野心に燃えた名作が数多くありますが、肩肘張らずに読めるこの作品の驚くべき完成度をもつて代表作とする方も多いのではないでせうか。
6.26
「楽興撰録」にてアンチェルのCD評追加。
6.24
「楽興撰録」にてプシホダのCD評追加。
6.23
「世界文学渉猟」にてマーク=トウェイン『不思議な少年』の寸評追加。先刻読了したカフカの『城』と並んで、世界文学史上最も絶望的な作品とすら云へるでせう。『人間とは何か』の思想を更に押し進めた厭世的な作品です。『不思議な少年』は偽作であり、トウェインには『不思議な少年44号』といふ真作があります。未読なので是非読んでみたいと思つてゐます。
6.22
「楽興撰録」にてビーチャムのCD評追加。
6.20
「楽興撰録」にてスキーパのCD評追加。
6.19
カフカ『城』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。特別に難解な作品です。従つて世界文学の名作を数多く渉猟し、何よりも『審判』などのカフカの代表作を渉猟した方以外は手を出さない方が賢明でせう。延々と読んでも―恐らくこの何十倍も続いても―この作品は不条理の侭です。終わりがないから始めもないも世界。どんな偉大な哲学者もこの世界の不条理を認めながら、決して屈しようとはしませんでしたが、カフカは服従したらどうなるかを『城』に託しました。私は常にカフカの作品をナチス・ドイツといふ眼鏡を通して読みます。それが正当なことだとは申しませんが、ひとつの解釈として提起します。
6.18
「楽興撰録」にてクライバーのCD評追加。ユニヴァーサルからフリッツ・ヴンダーリヒとレジナルド・ケルの録音を集成した箱物が発売されるとのことで、喜ばしい限りです。
6.16
「楽興撰録」にてブッシュ弦楽四重奏団のCD評追加。
6.15
「世界文学渉猟」にてカフカ『変身』の寸評追加。この作品のひとつの解釈として書きました。私はカフカの作品を読んでゐると常にナチス・ドイツのことを連想して仕舞ひます。ナチス・ドイツ体制下の制度、機構、世相、精神状況の異常性を少しでも知る方なら、カフカの作品が預言的な様相を呈してゐることに思ひ至るはずです。
6.14
「楽興撰録」にてフルトヴェングラーのCD評追加。
6.12
「楽興撰録」にてティボーのCD評追加。
6.10
「世界文学渉猟」にてカフカ『流刑地にて』の寸評追加。カフカの書評を書くのは大変難しいことです。寓話を如何に解釈するかが問はれるのですが、多岐に渡り過ぎて掘り下げが困難です。読者はそれぞれの異なる解釈を持つでせうから、あらゆる書評は普遍的な見解に到達出来ないでせう。現在『城』を渉猟中ですが、相当手応へのある難解な作品です。『城』はカフカの思索の全てが揃つた作品と云へます。「楽興撰録」にてクリュイタンスのCD評追加。
6.8
「楽興撰録」にてシューマン=ハインクのCD評追加。
6.6
チャペック『ロボット』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。ロボットといふ言葉を生み出し広めた作品として有名ですが、単なる近未来作品といふだけでなく、神と人間といふ数世紀にわたる問題を捉へ直した作品として不滅の価値を持つてゐます。終盤は希望ある解決を求めて刺激を失つたきらいがあるものの、様々な読み方を可能にする偉大な作品です。チャペックの他の作品では、「フォスカのホームページ」のフォスカさんが絶賛してゐる『山椒魚戦争』を、近々渉猟計画に組入れたいと思ひます。「楽興撰録」にてムラヴィンスキーのCD評追加。
6.4
「楽興撰録」にてペトリのCD評追加。
6.3
「世界文学渉猟」にてドストエフスキー『未成年』の寸評追加。
6.2
本日、ドストエフスキー『未成年』を読了しました。大作故、「世界文学渉猟」への寸評は焦らず明日に持ち越します。激務の為に時間が少なく、歯痒く思ひます。この本は「Русская Литература…?」(現在閉鎖中)のるーじんさんのご好意でお譲り頂いたもので、訳も装丁も素晴らしく、この場を借りて深く謝意を申し上げます。私はこれでドストエフスキーの五大作品を全て読んだことになります。この中では『未成年』の作風が独特で、その為か評価も一定しません。出版事情がそれを反映してゐます。しかし、作家の世界観が強く出た作品として、『未成年』は重要な位置を占めます。心理描写の見事さ、事件に至る迄の緊張感は尋常ではありません。
6.1
「楽興撰録」にてシューリヒトのCD評追加。
皐月
5.30
「楽興撰録」にてマルティネッリのCD評追加。
5.29
「世界文学渉猟」にて芥川龍之介『羅生門』の寸評追加。国語の授業でその後の下人の行方を問はれた記憶があります。追ひ剥ぎをした下人が、その後盗賊になつたと考へるのも結構ですが、老婆の訴へに同情せず懲らしめた下人ですから、世界の悪に染まることを潔しとしない道を選んだのではないでせうか。老婆のやうになるくらいなら死んだ方がましだと。
5.28
「楽興撰録」にてアンゲルブレシュトのCD評追加。
5.25
「世界文学渉猟」にて芥川龍之介『薮の中』の寸評追加。芥川の作品の中でも特に記憶に残る名作です。発想の斬新さ、構造の巧みさに感服してゐたのですが、再読して感じたのは、読み手に真相を邪推させ、人間不信を呼び覚ます悪魔的な作品だといふ点です。私の推察は、これは計画的に練られた事件で、その首謀者を女とするものです。多分これが一番醜悪な筋書きでせう。「楽興撰録」にてエルマンのCD評追加。
5.23
「楽興撰録」にてバルビローリのCD評追加。
5.21
「世界文学渉猟」にてシュトルム『みずうみ』の寸評追加。思想や教訓などはありませんが、読み手の心奥底に淡い詩情を残す作品です。珠玉の小品とはこのやうな作品のことを云ふのでせう。「楽興撰録」にてデ・サバタのCD評追加。
5.19
「楽興撰録」にてフルトヴェングラーのCD評追加。
5.18
「世界文学渉猟」にて森鴎外『山椒大夫』の寸評追加。この作品の表題が何故『安寿と厨子王』ではなく『山椒大夫』なのか疑問に思ひました。鴎外は日本のヴォルテールと云つてよいのではないでせうか。
5.17
「楽興撰録」にてクライスラーのCD評追加。
5.15
「楽興撰録」にてミュンシュのCD評追加。
5.14
「世界文学渉猟」にて森鴎外『高瀬舟』の寸評追加。教科書にも載つてゐた名作に説明は不要でせう。ドストエフスキー『未成年』を快調に渉猟中ですが、その間の「世界文学渉猟」更新はこのやうな掌編の再読が中心になるでせう。
5.13
「楽興撰録」にてゲルハルトのCD評追加。
5.12
Salon de Socratesを立ち上げて無事1周年を迎へることが出来ました。多くの方のご好意によつて支へられてをりますことに感謝致します。これからも定期的な更新を欠かさず、準備中の項目をひとつひとつ減らしていく所存ですので、今後とも何卒宜しくお願ひ申し上げます。1周年企画として、私が推薦する「世界の八大小説」といふ頁を制作しました。目新しいものはありませんが、「世界文学渉猟」の番外篇としてお読み下さい。
5.10
「楽興撰録」にてクライバーのCD評追加。Gebhardtからフルトヴェングラーが指揮した『指環』のローマでの録音が出るとのことで、スカラ座での『指環』に続く快挙です。インタヴュー付きとのことで今から楽しみです。Gebhardtは戦前のコヴェントガーデンでの『指環』抜粋も出してゐるので、フルトヴェングラーの残した『指環』の録音を全てCD化したことになります。ところで、この戦前の『指環』が完全版かそれに近いもので復元されることはないのでせうか。フラグスタートがテスト・プレスを大西洋に打ち捨てたといふ逸話があります。他に原盤が残つてゐないのでせうか。
5.8

「楽興撰録」にてフォイアマンのCD評追加。
5.6
シラー『ドン=カルロス』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。これほど緊張感を味はへる戯曲は数少ないと思ひました。唯、駆け引きの危ふさを理解するのには多少の予備知識がないと困難かと思ひました。歴史に詳しくない方には難解な作品に違ひありません。さて、次は大作ドストエフスキーの『未成年』に挑戦致します。Salon de Socratesも近々1周年を迎へますので、景気を付けたいと思ひます。「楽興撰録」にてクラウスのCD評追加。
5.4
「楽興撰録」にてマルティネッリのCD評追加。「世界文学渉猟」は通勤時間を主な読書時間としてゐる都合上、3連休中は停止状態にあります。権謀術数渦巻く緊張感に予断を許さないシラー『ドン=カルロス』の結末が気になります。
5.2
「楽興撰録」にてアンチェルのCD評追加。個人的に嬉しい新譜情報を備忘録として書き記します。Naxos Historicalよりシュナーベルの弾くベートーヴェンの変奏曲やバガテル集が出ます。別段珍しい録音でもなく、これまで復刻がなかつた訳ではありません。しかし、網羅的で満足出来る音質の復刻がなかつたのです。これには「エリーゼのために」の再録音も含まれてゐます。変奏曲や小品の全録音はCD2枚で収まる筈なので、もう1枚出ることに期待したいです。
卯月
4.30

「楽興撰録」にてバックハウスのCD評追加。
4.29
ゴーゴリ『ネフスキー大通り』『肖像画』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。『狂人日記』と併録されてゐた2作を未読だつたことに気付き、慌てて渉猟を致しました。ゴーゴリは駄作が少ない作家で、この2作も実に気の効いた名作です。ゴーゴリはリアリズムの作家と云はれるやうですが、どの作品も幻想的な趣があり、読者を魅了します。ゴーゴリの寸評を個別の頁に移動したついでに、プーシキンと司馬遷も個別の頁に移しました。さて、年頭に立てた渉猟計画を達成してしまつたので、今後の計画に頭を悩ましています。読みたいのを読めばいいぢやないかと思はれるでせうが、あれもこれも読みたいので困るのです。ひとまず5月はドストエフスキーの『未成年』を渉猟することで落着しました。
4.28
「楽興撰録」にてモントゥーのCD評追加。
4.26
『孟子』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。これで儒家の四書とされる『論語』『孟子』『大学』『中庸』全てを読んだことになります。この中では矢張り『論語』が格段に面白く、次いで『孟子』が大いに楽しめるものでした。『大学』『中庸』は教義が深淵であつても退屈な印象があります。『孟子』は名文が多く、深い叡智に充ちた対話が魅力です。中国の古典を読むといふ方はさう多くないでせうが、諸子百家の書は平易で、尚且つ相応の手応へを得られるので、特別な関心がなくとも読んでみることをお奨め致します。現代の日本社会は、アメリカ文化に追従して功利的過ぎると常々思つてゐます。漢学の素養、西洋の人文主義、そして和の精神を見直すべきだと思ひます。「楽興撰録」にてファーラーのCD評追加
4.24
「楽興撰録」にてフルトヴェングラーのCD評追加。
4.23
「世界文学渉猟」にてゴーゴリ『狂人日記』の寸評追加。この作品でゴーゴリが何を訴へたかつたかは詳らかではないのですが、腰を抜かすほど衝撃的な作品であることは確かです。
4.22

「楽興撰録」にてクライスラーのCD評追加。
4.21
「世界文学渉猟」のトップページへのアクセス時間を少しでも短くするため、読了作品全一覧をトップページに掲載することを止しました。また、思ふところあつて作品に対する評価を一部変へました。
4.20
「楽興撰録」にてミュンシュのCD評追加。
4.19
「世界文学渉猟」にてゴーゴリ『鼻』の寸評追加。荒唐無稽な作品と読むか、カフカを先取りした作品と読むかでこの作品の価値は異なつてくると思ひます。をかしいことが当たり前のことのやうにまかり通つた帝政ロシア社会の戯画と読めば更に奥深いでせう。現在『孟子』を快調に渉猟中です。諸子百家の書は智慧が詰まつてをり、現代でも古びない魅力があります。
4.18
「楽興撰録」にてブッシュ弦楽四重奏団のCD評追加。
4.17
半年間の中断を得てやうやくフリードマンのディスコグラフィーが完成しました。フーゴー・リーマンのアゴーギク理論を含む面白いものが出来たと思つてゐます。フリードマンの再評価に繋がれば幸ひです。尚、ディスコグラフィーのみ現代仮名遣ひを用いてゐますが、近々纏めて改める予定です―文学の頁その他は全て改めてあります。次はジネット・ヌヴーのディスコグラフィー制作に打ち込みます。
4.16
「楽興撰録」にてグレインジャーのCD評追加。
4.15
「世界文学渉猟」にてゴーゴリ『外套』の寸評追加。ゴーゴリの作品からは強い強迫観念のやうなものが底に感じられ、読み手の気を掴んで離さない処があります。ゴーゴリの作品は悲喜劇といふ言葉がよく似合ひます。これからロシア文学を読んでみようと思ふ方に薦めたい作家です。
4.14
「楽興撰録」にてエネスクのCD評追加。
4.12

「楽興撰録」にてマルティネッリのCD評追加。
4.11
二葉亭四迷『其面影』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。如何しても読みたかつた作品でした。これで二葉亭が残した小説の全てを読んだことになります。『其面影』は最も完成度の高い作品ですが、暗く重い作品です。他の作品も同様ですが、未完である『浮雲』や中途ではぐらかして仕舞ふ『平凡』と異なり、『其面影』が一応完結した小説である為に救ひがないといふ怨みがあります。二葉亭の作品は割り切つて方便を付けるやうな浅薄な人物を主人公にはしません。孤疑逡巡するインテリゲンチャを描くことこそ二葉亭の変はらぬ主題です。漱石も同じ主題をもつて三部作を描いてゐますが、二葉亭ほどの深みには達してゐません。敢て云ふなら『明暗』に至つても尚、二葉亭の淵まで降り立つことはなかつたと思ひます。それほどまで私が二葉亭を持ち上げることに、異論を唱へる方もゐるでせうが、個人的な思ひ入れですから堪忍して頂きたく思ひます。『浮雲』『其面影』『平凡』は、健康的な精神の読者が共感を持つて読める作品ではないかもしれません。どの作品にも絶望的な懐疑が塗り込まれてゐます。特に『其面影』は何とも哀しい小説です。それだけに小夜子といふをんなの可憐な美しさが心に残ります。
4.10
「楽興撰録」にてトスカニーニのCD評追加。
4.8
「楽興撰録」にてプーニョのCD評追加。
4.7
セルバンテス『ドン=キホーテ』後篇を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。同時にセルバンテスの頁を独立させました。『ドン=キホーテ』は世界文学の最高峰のひとつであると私には思へました。前篇後篇を通せば相当な長篇ですから、作品の終はり近くになつて感じる別れ難さも手伝つて、幾分思ひ入れがあることは否定致しません。けれども大方の読者はドン=キホーテとサンチョ=パンサの会話が果てしなく続くことを願ふのではないでせうか。誰もが知つてゐる風車の場面だけで『ドン=キホーテ』は語られてきました。しかし、全部を読まなければ、この作品の凄さはわからないと思ひます。これを読まずに死んでしまふのは人生にとつて何とも惜しいことだと思ひます。
4.5
「楽興撰録」にてモントゥーのCD評追加。
4.4
「世界文学渉猟」にてアイスキュロス『慈みの女神たち』の寸評追加。これでアイスキュロスの「オレステイア」三部作全てに寸評を付けることが出来ました。同時にほぼ完全に現存する全7作品にも寸評が付いたことになります。そこで、アイスキュロスの寸評を独立した頁に移動したのですが、作者略伝が未だ完成してをりません。怠慢の何物でもありませんが、気侭に出鱈目を書くことはしたくありませんので、近々勉強をして簡潔なものを仕上げたいと思ひます。事を次いでにして、ヴォルテール、シラー、ガルシン、幸田露伴も作家略伝がないままで独立した頁に移動しました。こちらも近日中に書き上げる積もりです。さて、ドン=キホーテとの旅も終はりが近づいてまいりました。名残惜しくもあるのですが、次なる渉猟計画を立てる喜びを歓迎したいと思ひます。
4.3
「楽興撰録」にてファーラーのCD評追加。
4.1
桜の時季も間もなくです。少し気分を新たに当頁の文体を変へやうと思ひます。意図しようとしてゐるのは清楚な文章を書くことです。これまで古風な言ひ回しを用ひるように努めてきましたが、衒学趣味を排した文章を心掛けたいと思ひます。単に「ですます」調を使ふと云ふことではなく、慎ましさと清らかさが底光りするやうな文体を綴るのが目標です。文章は書き手の人格や性癖を投影します。行間には如何に文体や表現方法を変えても消し去れない匂ひがあり、丁度画家の筆致のやうに書き手の個性を刻印します。しかし、作品ごとに趣向が異なり同一人物が書いたとは思へない芥川龍之介の文章のやうな例外があります。その例外を頼りに3ヶ月ばかり調子を変えて綴ることに致します。先に慎ましさと清らかさと述べましたが、これこそ私に欠けたる趣でして、見栄を切つた壮語が目に余ります。暫くは清々しい文章を求めようと思ひます。「楽興撰録」にてフルトヴェングラーのCD評追加。
弥生
3.31
「世界文学渉猟」にてアイスキュロス『供養する女たち』の寸評追加。アイスキュロスは、ソポクレスやエウリピデスが焦点を当てたエレクトラの復讐劇としてではなく、呪はれたアトレウス家の悲劇として描いてをります。回り道を避け、壮絶な劇的空間を真一文字に突き進むアイスキュロスの特徴が出てゐると申せませう。
3.30
「楽興撰録」にてクライスラーのCD評追加。
3.29
休暇をとりまして、上野で「ジョルジュ・ド・ラ=トゥール展」を鑑賞してきた次第でござります。これは近年稀にみる目覚ましい美術展と申せませう。尤も真作は僅かで模作が多いといふ難点はござりますが、真作が40点ほどしか伝はらない画家であれば仕方のないことでござりませう。闇の中に蝋燭なり角灯なりの光源を配置するといふ非常に個性的な画風を持つ、技巧的にも申し分のない画家でござります。夜はその足で、管弦楽の演奏会を聴きに行きましたが、これは学生時代にお世話になつた先生が定年で退団するといふので参じた次第でござります。バルトークとコダーイといふ興味深い選曲で、真に充実した演奏会であつたと申せませう。
3.28
「楽興撰録」にてロンのCD評追加。「世界文学渉猟」でスウィフトと二葉亭四迷の寸評を個別の頁に移動。
3.27
「世界文学渉猟」にてアイスキュロス『アガメムノン』の寸評追加。壮絶さではソポクレスの『オイディプス王』も引けを取りませぬが、ソポクレスはエクソダスに集中させた緊張感が素晴らしく、アイスキュロスは怒濤のやうな悲愴さに貫かれた全体の調子が素晴らしいのでござります。荒削りで雄渾な世界がアイスキュロスの持ち味と云へませう。「オレステイア」三部作の残り2作の寸評は追々載せ、併せて三部作総評も載せる予定でござります。
3.26
「楽興撰録」にてイームスのCD評追加。
3.24
「楽興撰録」にてアンゲルブレシュトのCD評追加。
3.22
「世界文学渉猟」にてアイスキュロス『縛められたプロメテウス』の寸評追加。アイスキュロスの最大の遺産は「オレステイア」三部作でせうが、一作ごとで鑑みれば『縛められたプロメテウス』こそが最高でせう。ギリシア悲劇中屈指の名作でござります。「楽興撰録」にてフリッチャイのCD評追加。
3.20
「楽興撰録」にてプリムローズのCD評追加。「世界文学渉猟」の寸評よりモリエールを独立。ヴォルテール、シラー、ガルシンなども近々個別の頁に移動させようと計画してゐる次第でござります。
3.18
「世界文学渉猟」にてアイスキュロス『テーバイ攻めの七将』の寸評追加。今月中は『ドン=キホーテ』後篇を堪能することになるでせう。サンチョの変貌に驚きつつ、狂へる主従の交はす深遠な言葉の洪水に存分浸つてをります。その間は定期的にアイスキュロスを再読し、寸評更新は欠かさないやうに努める次第でござります。「楽興撰録」にてアンチェルのCD評追加。
3.16
「楽興撰録」にてメンゲルベルクのCD評追加。中断してゐたフリードマンのディスコグラフィー作製をぼちぼち再開し始めた次第でござります。
3.14
グリルパルツァー『サッフォー』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。グリルパルツァーは文学史上では目立ちませぬが、『サッフォー』は畢生の名作と呼ぶに相応しい優れた戯曲でござります。さて、暫くの間短い作品ばかりを読んできましたが、やうやう仕事に余裕が出てきましたので、夏過ぎ迄は大作をどしどし渉猟する予定です。その間に既読作品の寸評を加へつつ、「世界文学渉猟」の充実を図る次第でござります。手始めは『ドン=キホーテ』後篇で景気を付けたいと思ひます。「楽興撰録」にてフィッシャーのCD評追加。
3.12
「楽興撰録」にてモントゥーのCD評追加。
3.11
アイスキュロス『救いを求める女たち』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。アイスキュロスの偉大さは「オレステイア」三部作に集約されてをり、三部作様式で魅力を発揮したと云へませう。『救いを求める女たち』は三部作の劈頭となる作品で、これだけでは序章程度の内容しか伝はりません。さて、この三部作の上演年代には異説が様々あるやうですが、従来通りアイスキュロスの最初期の作品と云ふ説を採用した次第でござります。これにてアイスキュロスの現存する7作品全てを読了、既読作品の寸評は近々渉猟予定の『ドン=キホーテ』後篇読書中に更新する積もりでござります。
3.10
アイスキュロス『ペルシア人』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。異色作でござります。勝者の驕りが鼻につく作品で、翻つてペロポンネソス同盟の盟主アテネのその後をみるかのやうでござります。実は、残る未読作品であつた『救いを求める女たち』も一気に読了してゐるのですが、寸評は小出しにさせて頂きます。
3.9
バイロン『海賊』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。『マンフレッド』に引き続きバイロンの代表的な物語詩を岩波文庫リクエスト復刊にて読んだ次第でござります。『海賊』は形而上的な内容から見ると弱いのござりますが、劇的な展開と誇張された性格で大いに読ませます。浪漫的な文学を愛する人にはお薦め致します。「楽興撰録」にてシャリアピンのCD評追加。
3.7
ガルシン『赤い花』『信号』『ナジェジュダ・ニコラーエヴナ』他を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。実は3日前に読了してゐたのでござりますが、寸評が一向に仕上がらなく、本日やうやう6作品全て一挙に更新した次第でござります。このガルシン作品集は「Русская Литература…?」のるーじんさんのご好意でお譲り頂いたものでござります。初めてガルシンを読みましたが、1880年代ロシアの苦悩が痛切に伝はる傑作揃ひで、社会の混迷と引き換へに文学の実り豊かなロシアに悲哀を感じました。ガルシンでは『赤い花』が取り分け有名ですが、『ナジェジュダ・ニコラーエヴナ』こそ最高傑作と云へませう。この作品は他の文庫では収録されてゐないので、とても幸運であつたと思ふ次第でござります。この場を借りて、るーじんさんには御礼申し上げます。さて、何時の間にか「世界文学渉猟」の読了作品数が300を越えてをりました―寸評はその3分の1にも満たないのですが、、、。「楽興撰録」にてシゲティのCD評追加。
3.5
本日は伴奏指揮者として舞台に上がつた次第でござります。良きオーケストラでした。特に管楽器が粒揃ひで完全に安心して棒を振ることが出来、ありがたいことだと感謝してをります。特にオーボエは美しかつた。独奏も本番が一番良く出来てゐた。つまり万事上手く行き申し分ないものでござりました。私の指揮は以前に比べて余り冴えないものでござりましたが。「楽興撰録」にてデ・サバタのCD評追加。
3.4
「世界文学渉猟」にてヴォルテール『カンディード』の寸評追加。うかうかしてゐたらガルシン『赤い花』他も読了してしまい、次なる寸評に取り掛かつてゐる次第でござります。さて『カンディード』の面白さは一読すれば諒解出来るでせうから、未読の方は迷はず手に取ることをお薦め致します。最善説は全ての結果には原因があるとする考えが根底にござります。しかし、大地震や大津波に如何なる見解を示せば良いのでせうか。ヴォルテールは仕方がないでは済まされないと訴えるのござります。
3.3
「楽興撰録」にてフルトヴェングラーのCD評追加。
3.2
激務の為、どうにも更新まで漕ぎ着けませぬ。『カンディード』は一昨日既に読了済みでござりますが、寸評がまだ仕上がりませぬ。現在、ガルシン『赤い花』他5篇を渉猟中ですが、引き込まれるやうに読んでをりまして明日にも読了予定でござります。お粗末ながらこれにて本日はお開きとさせて頂きます。
如月
2.28
「楽興撰録」にてクーセヴィツキーのCD評追加。今週末に内輪のオーケストラを指揮することになつてをりまして、その曲目がクーセヴィツキーのコントラバス協奏曲であると云ふので、自作自演盤を引つ張り出して聴いた次第でござります。アマチュアが指揮をする機会は限られてをりまして、特別な体験と申せませう。これは個人的な見解ですが、指揮者に必要な能力は、棒の技術でもなく、音感の良さでもなく、楽譜の読みの深さでもなく、唯詩の精神のみだと考えてをります。立ち現れた音を別の世界へと導くとき、棒振りが指揮者になるのだと信じてをります。
2.27
ヴォルテール『ザディーグ』『メムノン』『スカルマンタドの旅物語』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。実は既に『カンディード』も再読してをりまして、間もなく読了する次第でござります。『ザディーグ』は『カンディード』以上の傑作かと思はれます。ライプニッツの予定調和を揶揄するばかりに破天荒な滅茶苦茶さ加減が過ぎた『カンディード』よりも、『ザディーグ』の方が賢人の物語と云ふ風情で、何よりも幸福とは何かと云ふ人間にとつて永遠の問題を取り上げてゐるだけに普遍的な作品に思はれました。強く推します。書店に立ち寄ると岩波文庫のリクエスト復刊が陳列してあつたので、ヴォルテール、シラー、バイロン、チェーホフを購入しましたが、サンドとモーパッサンは既になく見識ある人が彼処にゐるものだなあと感心をした次第でござります。
2.25
「楽興撰録」にてロンのCD評追加。多忙の為更新が捗りませぬ。ヴォルテール『ザディーグ』の他にも2篇を読了してゐるのござりますが、寸評は明日以降に持ち越しする次第にて本日はこれまで。
2.23
ヴォルテール『ミクロメガス』『この世は成り行き任せ、バブークの見方』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。『哲学書簡』に引き続き、つい先日岩波文庫より刊行されたヴォルテールの哲学コント集を渉猟中でござります。『ミクロメガス』は設定が荒唐無稽過ぎて、認識論と云ふ主題を巧く料理してゐるとは申せません。『バブーク』はヴォルテールお得意の東洋物でして、価値論を十分に展開してをります。現在は『ザディーグ』を渉猟中ですが、はつきりとこれは『カンディード』に匹敵する名作と申せませう。
2.22
「楽興撰録」にてモイーズのCD評追加。
2.21
シラー『メッシーナの花嫁』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。今年がシラー没後200年とも知らず『群盗』を読んで悦に入つてゐたとは恥ずかしき事実でござりまして、改めて記念年にシラー渉猟を深めようと云ふ算段で、『メッシーナの花嫁』を手に取りました次第でござります。古典主義の理念による劇の頂点とも云へる作品ですが、純粋な面白さ、魔力と云ふ点では幾分遜色がありませう。
2.20
「楽興撰録」にてイームスのCD評追加。
2.18
ヴォルテール『哲学書簡』亦の名『イギリス通信』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。ぐうの音も出ない程感服致しました。面白いのでござります。恐らく私が歴史畑の人間だからでせうが、市民革命や産業革命に少しでも興味のある方なら騙されたと思つて読んでみるとよいでせう。各々興味の薄い分野はあるにせよ社会全般に触れてをりますので、必ずやヴォルテールの毒舌ににやりとすること請け合ひでござります。それにしても書名で損をしてゐる感なきにしもあらずですが、堅苦しい部分は皆無ですのでご安心を。個人的には最終書簡で行はれた『パンセ』論駁に溜飲を下げた想ひです。ヴォルテール頌、本日はこれまで。近々刊行される『カンディードその他』も直ぐさま渉猟する予定でござります。
2.16
「楽興撰録」にてクリュイタンスのCD評追加。
2.15
職業柄多忙を極めまして更新が覚束無いのが口惜しうござります。現在ヴォルテール『哲学書簡』を読んでをりますが、飽きれるほど面白い著作でござります。終始反語を駆使して冷徹な審美眼を貫く話法には惚れ惚れと致します。社会、歴史、文化、哲学、科学、思想、宗教、文学に関心の或る方は必ずや虜となるでせう。
2.14
「楽興撰録」にてギーゼキングのCD評追加。
2.13
親鸞の直弟子に当たる唯円が記したとされる『歎異鈔』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。仏教書を読むのは久方振りでござります。『歎異鈔』は予てより読んでみたかつたものでござります。釈尊の教へは出家修行による煩悩滅却の結果解脱することを説いたものだと理解してをります。従つて私などは、阿弥陀如来の本願に救済されると云ふ浄土教の教へには素直に帰依することが出来ません。しかし、親鸞と唯円の言葉は確かに釈尊の教へと相違はないのでござります。真に仏の教へは奥深いと申せませう。
2.11
「楽興撰録」にてクラウスのCD評追加。
2.9
ラブレー『ガルガンチュア』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。異常な書物であることは聞き及んでゐましたが、古今東西類を見ない化け物小説でござります。最初から最後まで食つて飲んで出すの連続でござります。特に出すことに関しては執念すら感じました。それでゐながら、宗教対立を揶揄したり、覇権抗争を戯画したりと奥が深い作品でござりまして、一筋縄ではまいりません。かと云つて隠された意図が常に用意されてゐる訳ではないので深読みは肩すかしを食らふ羽目になるでせう。私は主に、エラスムスより継承したユマニスムの転化をこの書物から読み取つた次第でござります。
2.7
演奏会の報告を。伊福部昭「シンフォニア・タプカーラ」に関して述べれば快挙と云ふべき演奏でせう。弥生室内管弦楽団に在籍して最も嬉しかつたことだと断言出来ませう。今後他所でこの曲を弾く機会が与へられたとしても、同じやうな感銘を被ることは決してないでせう。しかし、興奮状態で弾いてゐた故、冷静さを欠く手前味噌な感想ですのでいい加減にして置きませう。他の曲も拙くはないと思ふのですが、録音で聴くと大方非道いのでせう。反省するところは山程あるのでせうが、血が騒ぐ演奏を為し得ただけで先ずはよしとしませう。斯く云ふも実はこれが一番大事なことなのでござります。「楽興撰録」にてティボーのCD評追加。
2.4
明後日は弥生室内管弦楽団の演奏会でござります。「シンフォニア・タプカーラ」を一心不乱に弾く心構へでをります。演奏会にご興味のある方はメールにてご連絡下さいまし。ご招待させて頂きます、と宣伝はこのくらゐにしておいて、現在隠語満載のラブレー『ガルガンチュア』渉猟中で間もなく読了なのですが、演奏会もあることですし、更新が先延ばしになると思はれましたので、短いものをとワイルド『サロメ』を再読し「世界文学渉猟」に寸評を追加した次第でござります。福田恆存の訳ですので、正字正かなによる表記でござります。この為でせうか、何とも云へぬエロスが立ちのぼります。現代仮名遣ひでは決してかうは行かないでせう―理由はなく感覚的な意見でござりますが。
2.3
「楽興撰録」にてアンチェルのCD評追加。
2.1
本日またもや異人よりメールを頂きました。おそろしうござります。同じくフーベルマンのディスコグラフィーで検索されてこられた方でござりまして、フーベルマンのブランズヴィック録音時代に伴奏を務めたPaul Frenkelを祖父に持つと云ふライン・フライシャウアー様と申すオランダ人からでござります。英語で返事を書くことの労力と云ひましたらそれは言葉に出来ない位でして、学生時代から御点が捗々しくない私の出鱈目な英語は果たして通じてゐるのやら真に心許ないものです。とは云へ、かうしてお便りを頂けることは望外の喜びでござります。少しでも検索のお役に立てるやう価値のあるものを書き記したいと思ふ次第でござります。「楽興撰録」にてヴァインガルトナーのCD評追加。
睦月
1.31
幸田露伴『幻談』『観画談』『骨董』『魔法修行者』他を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。露伴の作では江戸職人気質で読ませた『五重塔』の名調子に感服してをりましたが、晩年の作品は打つて変はつて、気の置けない調子で伝聞らしきものを語つてをりまして、その中に驚くべき博学を披露する手腕に改めて感服した次第でござります。一寸道学者めいてをりますが、余り教訓などを感じさせず、幅とゆとりがあります。これほど品格のある文章には滅多にお目にかかれないと申せませう。ところで、このやうな短篇それぞれに寸評を付けるのには居心地の悪さを幾分感じてをりまして、愛すべき掌篇『廬声』の寸評は割愛させて頂きました次第でござります。
1.30
「楽興撰録」にてコルトーのCD評追加。
1.28
『中庸』及び『中庸章句序』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。四書においては最も深遠な教義を扱つてゐるとのことですが、論理の展開は申し分ないものの演繹の上での空論に思へた次第でござります。因みに演繹と云ふ語は『中庸章句序』が典拠だと云ふことでござります。
1.27
「楽興撰録」にてメルバのCD評追加。
1.26
四書のひとつとして名高い『大学』及び朱子学で高名な朱熹による注釈書『大学章句』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。歴史を学んだ時に憶えた四書五経の『大学』『中庸』とは如何なる書物かと少しは関心はあつたのですが、分量が意外と薄いことに気をよくし、試しに読んでみた次第でござります。それ自体さして面白くもない内容ですが、最大の収穫は、朱熹がこの二篇を『礼記』より抜き出して四書として祭り上げたと云ふ事実を知つたことでござります。そして、やはり歴史で憶えた朱子学の骨子である「格物到知」の出典が『大学』にあることも知り、その意も理解出来たことが何よりでござりました。中国思想が哲学としての深みを帯びたのは朱子においてで、拡大解釈への批判はあると思ひますが、偉大な人物であつたことが認識出来た次第でござります。
1.25
「楽興撰録」にてミトロプーロスのCD評追加。気になる新譜情報を備忘録として書きとどめやうと思ひます。米arbiterがフリードマンの未発表録音を発売する予定でござりますが、詳細が判らないのでもどかしく思ふものの今から興奮気味でござります。独ヘンスラーのシューリヒト・エディションは初出物を含む注目の品ばかりでござります。仏Tahraからもブルックナーがお目見えするとのことで、俄にシューリヒトが面白く聴けさうです。米Marstonのリリース計画が刷新されましたが、リトヴァンヌ全録音の他、未知の大物歌手の録音全集が目白押しで度肝を抜かれた次第でござります。
1.24
泉鏡花『天守物語』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。泉鏡花の戯曲では最も評価の高い作品であるさうですが、私は悲愴な情念が溢れた『夜叉ケ池』の方が好みでござります。ところで、『天守物語』にはとても親近感を抱ひてをります。それと云ふのも、冒頭の合唱からこの耽美的な戯曲ほどオペラに相応しい台本はなからうと思ふのでござりますが、そこは御安心を、絢爛たる音楽をお書きになられる作曲家水野修孝先生によるオペラ『天守物語』がござります。このオペラを不勉強なことに聴いたことはないのですが、先生以上に鏡花の世界を具現出来る方はゐないでせう。先生は、私が大学時代に所属してゐた管弦楽団の常任指揮者でしたから、少なからず御縁があると云ふ次第でござります。
1.23
「楽興撰録」にてトスカニーニのCD評追加。
1.22
泉鏡花『夜叉ケ池』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。鏡花の作品では『歌行燈』が一番印象深うござります。最初は掴み所がなく難儀するのですが、独特の調子と申しますか、語り口と申しますか、仕舞ひには絢爛たる世界と名文に陶然とさせられまして、恐れ入つた思ひ出があります。戯曲『夜叉ケ池』も実の舞台は魑魅魍魎が犇めいてさぞかし妖しきことでせう。引き続き『天守物語』を渉猟する次第でございります。
1.21
ジョルジュ・サンド『愛の妖精』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。私の場合、男装の麗人サンドのことは、何よりも最初にショパンの恋人として聞き知つたものでござりますから、田園小説家としてのサンドを正面向いて意識するのが今更になつてしまいました次第でござります。読み始めた最初から魔法をかけられ通しで、斯様に面白く引き込まれるやうに読んだ小説は久方振りでござります。そして、読了後斯様に爽やかな気分にさせられた小説も絶えてなかつたのでござります。原題を直訳すると「娘つこのファデット」で、意訳して「愛しきファデット」とでもなるのでせうが、妖精ファデーにも掛けた『愛の妖精』と云ふ邦題は実に的を射てゐると申せませう。
1.20
「楽興撰録」にてモントゥーのCD評追加。BBC LEGENDSより奇蹟のホルン奏者デニス・ブレインの初出録音てんこ盛りの御宝CDが発売されるさうで、心底驚愕した次第です。話題は変はりますが、久々に当サイトに関する検索を行つてみたところ、「言葉 言葉 言葉」の野嵜様からリンクを頂いてゐることがわかりました次第でござります。此のやうに中途半端な正かなサイトなので、大変恐縮でござります。今後纏まつた時間が取れましたら、少なくとも文学の頁は全て正かなで統一しやうかと考えてゐる次第でござります。
1.18
『竹取物語』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。多くの方が御存知の物語でござりますから、何の補足も必要ではないでせう。それにしても思ひまするに、古典名作とは解釈の余地を多分に残し、あらゆる読み方を受け入れる作品のことを指すのでせう。『竹取物語』はその典型で、読む度に発見がある物語と申せませう。「楽興撰録」にてロンのCD評追加。
1.16
「楽興撰録」にてライダーのCD評追加。私事ですが気になる新譜情報を徒然なるままに書き捨てたく思ひます。独ヘンスラーからリヴィング・ヴォイシスなるシリーズが出るさうで、ロッテ・レーマンが欧州時代に録音した「女の愛と生涯」や、これまで墺プライザー社以外からは目立つた復刻のなかつた大物シュヴァルツとスレツァークが含まれてをり、卒倒するほど驚いてをります。スプラフォンのアンチェル・ゴールド・エディションもやうやう完結ですが、これまでCD化されたことのない20世紀チェコの作曲家作品の録音ばかりで予てより楽しみにしてをりました。
1.15
シラー『群盗』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。私は古典を、古典主義を愛する者ではありますが、それ以上にロマン主義を愛してをります。ベートーヴェン、ゴヤ、ドラクロワ、バイロンなどに対する想ひは言ひ尽くせるものではござりません。疾風怒濤の代名詞とも云へる『群盗』の世界は、私といふ存在を危うくするほど熱狂に引き摺り込みました。おお、愛して止まないのです、斯様な藝術を。勿論ドラマツルギーのみではござりません。人物らが語る思想の端々にこそこの悲劇の骨頂を見出したのでござります。もし、結末が円満なものだつたとしたら、私はこの本を火に焼べたでせう。
1.14
「楽興撰録」にてフルトヴェングラーのCD評追加。
1.12
「楽興撰録」にてフリッチャイのCD評追加。
1.11
知里幸惠(編訳)『アイヌ神謡集』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。この書物を手にした理由ですが、ひとつは来月の演奏会で弾く伊福部昭「シンフォニア・タプカーラ」の世界をより深く知る為であります。タプカーラとはアイヌの言葉で立ち踊りを意味するのですが、この書物にもtapkarと云ふ言葉が頻繁に現はれます。それとは別に、もうひとつの根源的な理由がありました。それは私がアイヌの末裔であると云ふことから、避けては通れない道であると思つてゐたからであります。霊力のある書物で深い啓示を得たやうな気がします。美しい世界。美しい詩句。
1.10
「楽興撰録」にてバルビローリのCD評追加。
1.8
バイロン卿『マンフレッド』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。高校生の時分でござりましたか、バイロン卿の詩集ほど私の文学趣味に影響を与へたものはござりません。浪漫的な情熱に甚く打たれてまして詩作に耽つたのが懐かしうござります。劇詩『マンフレッド』からも切れば血が出るやうな浪漫的詩句が溢れ出てをり、改めて畏敬の念を抱きました次第でござります。
1.7
「楽興撰録」にてエルマンのCD評追加。
1.6
谷崎潤一郎『文章讀本』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。このやうな実用書の類ひを読むのは何年振りでございませうか。谷崎ほどの大家の手によるものでなければ、まず読もうとは思はなかつたのは本当で、日本の文豪中一二を競ふ名文家であられる御仁の文章論を看過することは、よき文章を綴ろうと心掛けるものにあるまじき行ひと申せませう。いまひとつの理由に、当サイトで企画してをります「現代日本語美文序説」を書くにあたりまして、先人の残したものを読まずに物すなど論外であると思つてゐました折、書店にて拾ひ読みをしてこれぞ我が意を得たりと関心を寄せた為でございます。読み終はつてみて、加へて何かを書くことなど見当たらないものの、70年も前の文章論だから多くの方にとつては隔たりが感じられるだらうし、私の性質も御仁とは異なりますので、力点を変へた文章論を書いてみたいと思ふ次第でございます。
1.4
「楽興撰録」にてフラグスタートのCD評追加。
1.3
サン=テグジュペリ『星の王子さま』を読了し、「世界文学渉猟」に寸評追加。これまた今更ながら初めて読んだ名作でございますが、ひしと心を打たれた次第です。強く訴えたいことは、この作品が巷の間では童話と認識されてをり、幼い時期に読むべき本と喧伝されてゐることの大いなる過ちのことでございます。一度大人にならなければ、この作品の真価は伝はらないはずでございます。とまれ子供の時に読んだきりの人には再読することをお薦めする次第。新年早々目出度くも星4つの献上でございます。昨年も『史記列伝』『ドン=キホーテ』『ピロクテテス』『レ・ミゼラブル』の4作品と少し多めございましたが、本年も幸先のよい幕開きと申せませう。
1.2
「楽興撰録」にて伊福部昭「シンフォニア・タプカーラ」他のCD評追加。来る2月6日にトッパンホールに於きまして主幹が所属してをります弥生室内管弦楽団が演奏する曲目でござります故、話題の新録音を早速取り上げた次第でござります。最新録音を聴くのは久方振りでございます。お目当ての「タプカーラ」は水準程度と云つたお手並みですが、「ゴジラ」が痛快ですので広くお薦め致します。こつそり隙を窺ひつつサン=テグジュペリの不朽の名作『星の王子さま』を少し読み始めました次第です。早くも虜になつてしまいました。
元日
新年明けましておめでたうございます。本年も何卒Salon de Socratesを宜しくお願ひ致します。はて、新年と云へば年頭所信を述べるのが常かもしれませぬが、そのやうな気負ひは殆どござりませぬで、「世界文学渉猟」にしましても「楽興撰録」にしましても、十年以上欠かさずに続けてきたことを、HPにて記し始めたに過ぎぬのですから、苦慮もなければ別段工夫もなく、昨年と同様に定期的な更新だけを励むばかりでござります。「世界文学渉猟」の年間計画と致しましては、『ドン=キホーテ』後篇と諸子百家の書物の何れか読む積もりとだけ述べておきますが、実のところ一番読みたいのは、現在入手の道を断たれてしまいました二葉亭四迷の『其面影』であつたりしまして、結局は風任せの航海になるのでせう。それから、寸評の数を年間で70くらい増やしたいのですけれども、ちと保証はできませぬ。ディスコグラフィーは第9回のラフマニノフまでは創る積もりでをりますが、季節風に頼つてをりますのでこれまた空約束のやうです。従ひまして、抱負は準備中の項目をひとつでも減らすことでせうかと述べる矢先、春になりましたら新しいことを始めるかも知れませぬので、何から何までいい加減な年頭所信でござります。おしまひに、昨年度の当頁は質実な漢文調で簡潔に綴りましたが、本年の上半期は慣れないながら、このやうな冗漫な戯作調でだらだらと綴つてみやうと思ひます。何せこのサイトの第一の目的が文章の修練でございますので、色々な文章が綴れるやうにあれこれ試してみたい次第でございます。


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